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お知らせ日:2010年2月23日

件名: 数値制御工作機械輸出に伴う法令適用の厳格化について

参考資料:詳細は、資料名をクリックしてください。
通関業者からお客様への依頼状
輸出貿易管理令別表第一の六の項

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日本から工作機械を輸出する際に、「該当」「非該当」という言葉を聞かれた方は多いと思います。
一言で言うと「輸出貿易管理令」に「該当する」か「該当しない」ということです。
該当する場合は、経済産業省に輸出許可を申請して許可を貰わないと輸出できません。

産業用工作機械の場合は、大雑把にはNC制御の機械は「該当」、その他は、「非該当」になります。
ところが「輸出貿易管理令別表第一の六の項」に、「位置決め精度が0.0045ミリメートル以下のものが該当する」とありますので、精度が4.5ミクロンを超える機械は「非該当」になります。非該当証明書はメーカー以外の検査会社等でも発行しますので、非該当証明書に「精度が4.5ミクロンを超える」と記載すれば輸出できました。従来、この方法で中古の工作機械が輸出されてきました。

ところが、
昨年、10月14日(水)に開催された本牧地区(横浜)通関協議会において、税関特別審査官より数値(NC)制御工作機械の輸出通関に当たって、「非該当証明書」の内容を厳しく取り締まる旨の周知がありました。「周知」ですので、経済産業省や通関業組合等のホームページには公告されておりません。

通関業者からお客様への依頼状(この「お客様」とは、輸出者「多くの場合日本在住の中古業者」のことです)によると、下記3点に注意が要ります。

1)メーカー発給資料の添付の義務付け
 SHIPPER様作成の非該当証明書について、非該当証明書の作成に使用した数値及び精度等が適正なものかを判断する為、メーカーが発給したパラメーターシート、または数値及び精度の記載が適正であると税関が判断できるカタログの提出が義務付けられました。

2)パラメーターシートの測定基準の解釈の厳格化
 従来までパラメーターシートに使用する測定値はJIS(日本工業規格)測定値のものを認めていましたが、輸出貿易管理令別表第一の六の項に「国際規格ISO測定値を基準とする」と規定されています。その為、今後はJIS測定値のものは数値及び精度が適正かどうか判断出来ないとして無効とされることとなります。

3)メーカー自主判定時の注意
 同じく、メーカー様が非該当証明書を発給する際にも、JIS測定値によるものではなく、国際規格ISOに基づいた測定値により該当・非該当の判断を行う必要があります。

2項目、3項目は測定方法をJISからISOに変えるだけですから問題ありません。

1項目の「メーカー発給資料の添付の義務付け」が大問題です。
本来、メーカーは、新台を作るのが本業です。NC制御の機械ですから、新台の精度は4.5ミクロン以下で、「該当」になります。
中古機械をメーカーに持ち込んで、「この機械の精度は4.5ミクロン以上だから、非該当証明書を書いてください」と言ってどのメーカーが対応してくれるでしょうか?
メーカーの作る「新台」は「該当」です。そのメーカーに「中古機械」は精度が落ちているから「非該当」扱いで。と言うのも無理な話でしょう。

すなわち、中古のNC制御機械を経済産業省への輸出許可申請なしで輸出するのは不可能になった(非該当証明書が使えない)というのが現状です。

東南アジア在住のお客様には、日本から中古のNC制御の機械を輸入されます時に、くれぐれもご注意頂きますようご報告いたします。

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今後は、「該当」扱いとして、経済産業省への輸出許可申請が必要になります。
手続き自体は、多少手間が掛かりますが、輸出許可を取ることはできます。
その際、「転売禁止」の誓約書を書かされますが、「該当」機器の転売方法につきましては、別途ご報告いたします。


- 以上 -